自分を許すこと。なりたい自分になる第一歩として。


 

わたしたちは、いろいろなルールや価値観の中で生きています。
社会的なものもあれば、個人的なものもあります。
その中で、往年の名歌のように、上を向いて歩んでいくために。
起点となるのが「自分を許す」。許してあげることじゃないでしょうか。

 

 

 

許す、ということ

 

そもそも、許す、って何でしょう。
辞書では、認める、責めないでおく、免除する、任せる、打ち解ける、
とか、そんな意味が載っています。

 

 

 

英語ではいくつか表現がありますが、失敗や罪を許す、という意味では
「forgive」でしょうか。
forgive、語源が面白いですね。
唸ってしまいました。

 

 

 

forgiveを分解すれば「for」+「give」ですね。
並びだけ見れば「与えるために」みたいな意味です。なんじゃそら。
一方で、一説では、「forgive」はラテン語の「Perdonare」から
翻訳借用して作られたとのこと。

 

 

 

ラテン語「per」は「全て」、「donare」は「与える」。
つまり、forgiveは「完全に与える」という意味だそうですよ。
完全に与えることが、許すこと。
深いですね。

 

 

 

わたしたちが誰かを許す時。

 

例えば、歩いている時に誰かが肩をぶつけてきた。
「ごめんなさい」のひとことに「いえ、大丈夫ですよ」と許す、とか。
レストランで、同席者が水の入ったグラスを倒し、自分の服にかかった。
慌てて拭こうとする同席者に「洗えばいいから」と許す、とか。

 

 

 

逆に、許さない時。

 

恋人の浮気が発覚した。謝るどころか開き直っている。
わたしをバカにして!絶対許さない!とか。
肉親が交通事故にあって亡くなった。歩道を歩いていただけ。
飲酒運転の相手に完全に過失がある。許さない、復讐してやる!とか。

 

 

 

実は、許すも許さないも、自分の気持ちひとつです。
その人を許すかどうか、自分だけが決めることができます。
社会的に許されない事でも、個人的には許せる事もありますね。

 

 

 

不思議なのは、許す時って、相手のことを想っているんですよね。
「わたしは気にしないから、そんなに気に病まないで」とか、
「わたしがやるから、その間にあなたはそれをやってね」とか。

 

 

 

そこが、「完全に与える=許す」ということなのかなと思います。

 

 

 

自分を許してあげる。そのためには?

 

逆に、許さない時は、自分のことを守るだけで精一杯。
相手のことなんて考えません。
言ってることはわかるけど、わたしはあなたに傷つけられた。
だから、わたしはあなたを許さない、みたいな。頑なです。

 

 

 

自分の想いとか配慮、相手への気遣いを、相手に与える、ということ。
本当に許す時は、それらを相手に完全に与えた時、じゃないでしょうか。
相手から十分な贖罪があったり、時間とか状況とか愛情友情、
いろいろな理由から、わたしたちは相手を許します。

 

 

 

これが、自分相手だと、厄介です。
自分を許さないのは自分自身。でも、自分を許せるのも自分だけ。
自分は自分から離れられないし、四六時中評価しています。
自分に想い、配慮、気遣いなんかを完全に与えるって何?て感じですよね。

 

 

 

自分は自分に、いくらでも厳しくできます。
甘くできるのと同じように。
自分の失敗や罪悪感を覚えることが、たとえ些細なものであっても、
自分が許さないと思ったら、許せないわけです。

 

 

 

そうすると、だんだんと自分が嫌いになっていきます。
自分が仮に10項目の集合だとして、いいところが8つあっても、
残り2つが許せないと「2つも×がある自分は、全くダメだ」
となっていきます。ダメなところにしか目がいかない。

 

 

 

これは、完璧主義に通じるところもあるでしょうか。

(完璧主義をやめて、完璧を「選ぶ」ということ)
とっても苦しい状況ですよね。

 

 

 

わたしの同僚に、非常に自分に厳しい人がいます。
決まった時間に起きて、朝一番に出社する。
前日にやると決めたタスクは全部こなす。どんなに遅くなっても。
突発で緊急の仕事ももちろんこなす。できないのは甘えだ、という人。

 

 

 

自分に対するのと同じぐらい、人にも厳しいです。
部下が数人いる人ですが、しょっちゅう怒っています。
仕事は確かに正確で丁寧、信頼も厚いのですが、
仕事の外での人間関係は残念ながら、よくありません。

 

 

 

この人は、自分を許すという事をしません。
自分を最大限追い込んで、できない=甘えと考えます。
そういうストイックな生き方もありだと思いますが、しんどそうです。

 

 

 

許すことと甘やかすことは、大きく違います。
何か失敗したとして、贖罪なり挽回なりフォローなりした結果、
許されるわけですよね。
何もしなくて手放しでなかったことにするのが、甘やかしです。

 

 

 

自分で自分を許さない人。
そこにはきっと、「こうありたい」「こうあるべき」自分が
明確にあって、それと今とのギャップが許せない。
今できていない、届かないこと自体が受け入れられないのだと思います。

 

 

 

なんでこんなこともできないのか、なんてダメなんだ、とか。
なんでこんなことをしたのか、なんでバカなんだ、とか。
いったん思い始めると悪いところしか目につかなくなって、
余計に許せなくなる。許そうと思えなくなる。負のスパイラルです。

 

 

 

やめましょうよ。自分を許してあげましょう。
足りないところだらけ、未熟極まりない今の自分を。
「こんなこともできない」「こんなバカなことをした」ということは、
「これをしたい」「これはしたくない」がはっきりしていますよね。

 

 

 

はっきりしていることを実現するために、今の自分を許しましょう。
それは甘えでもなんでもありません。
単に、現状をちゃんと把握して、理想とのギャップを認めて、
理想に辿り着くために足りないものを埋める第一歩です。

 

 

 

自分を許すことが、なりたい自分になるために必要な最初の段階です。
では、どうやれば自分を許すことができるのか。
「自分を許すための、ただ一つの方法」とは。

 

 

 

そうだったのか!目から鱗!という方法は、ありません。
自分を許すのも、許さないのも、自分にしかできません。
どこまで突き詰めても、自分の気持ち次第です。
納得できるかどうか、ですよね。

 

 

 

鏡の向こうのあなたは、どんな顔?

 

そういえば、わたしには持論があります。
いつからかはわかりませんが、確信を持つようになりました。
もちろん今でも。むしろ、確信は深まりつつあります。
別に特別なことではないんですけどね。

 

 

 

「人間関係は鏡合わせ」

 

 

 

わたしが親切にした人には、親切にしてもらえるかも。
わたしが優しくすれば、その人もわたしに優しいかも。
無視したり意地悪をすれば、その人も同じように返してくるかも。
逆もそうですね。誰かに優しくされたら、その人に優しくしたいです。

 

 

 

ただ、これは見返りを求めてしまうと押し付けになります。
優しくしたんだから優しくしてよ、と。
わたしが優しく接するかはわたしにしか決められないように、
相手が優しくするかどうかは相手が決めますよね。

 

 

 

一言でいうと、自分の気持ちの持ちよう、ということです。
優しくしたら、それはいつか返ってくるかもしれないよ、と。
優しくしなかったら、優しくしてもらえることもないです。
それならわたしは優しくあろう、と思います。

 

 

 

同じように、自分を許すことができれば、人を許すこともできます。
自分が嫌いな、気に入らない部分を一番知っている自分を許せるなら、
そこまで細かくわからないし、いいところも持っている人を許すなんて、
楽勝だと思いませんか。

 

 

 

そして、あなたに許してもらった相手は、あなたのことを許してくれる。
かもしれません。あなたの望む許しではないかもしれません。
それでも、許し合える間柄って心地いいものだと思います。
「そういうお前ができてないやろが」と言い合うのはゲンナリですよね。

 

 

 

まずは、自分を許すこと。
それが、人を許すことに繋がります。
それが、あなたにとって心地いい関係を広げる事にも繋がります。
甘やかすのではなく、許すんです。お互い成長するために。

 

 

 

わたしには、将来目指す姿や形がある。
今の自分がそうなれていないのは、いっぱい足りないものがあるから。
それを埋めたり手に入れる行動とか努力をするんだ。
そのために、できない今の自分を許して、認めて、始めるんだ。

 

 

 

そんなあなたのことを、誰も「ダメなやつ」呼ばわりしません。
もしそうする人がいれば、縁を切りましょう。あなたに害なす人です。
あなたを大事に思う人や友人はきっと、応援してくれます。

 

 

 

もし過去に戻れたら、きっと、「よくやってる」と言ってもらえます。
誇りに思ってもらえます。
ちょっとだけ未来の、あなたからも。


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筆者:鳴海 研

化学メーカーにつとめる30代理系サラリーマン。
一人っ子として育てられたと思ったら実は違ったり、
借金で育てられたり家族が蒸発したり会社の先輩が失踪したり、
色々経験する中で辿り着いた、本当に生きたい人生とは。
あなたはどんな未来を実現したい?そんなことを書いています。

⇒鳴海研ってどんなやつ?

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