「市場価値が高い=すごいことができる」って、本当?


 

 

中学生の頃だったか、わたしの周りではこんなテストがはやりました。
「あなたの価値は何円でしょう!?」
ウェブのサイトですが、性格とか好みをいくつか入力するだけ。
今で言えば、とーっても簡単な「市場価値テスト」です。

 

 

 

そのテストは言わずもがな他愛ないお遊びなので、
何百万円って出たり何億円って出たり、それだけです。
特に理由とかアドバイスがあるわけでもなく。
誰も信じてなんかいませんでしたが、なぜか盛り上がりましたね。

 

 

 

それから十年もたって、社会人になって、いろいろ経験して。
転職なんていう言葉も気になって。
そうすると、真っ先に飛び込んでくる言葉が「市場価値」。
どうにも緊張する言葉ですね。

 

 

 

市場価値って、一体?

 

一言でいってしまえば、世の中であなたの価値はどうなの、
ということですが。
そもそもそれって、どうやって測るんでしょう。
市場での価値。市場ってなに?どの市場?誰にとっての価値?

 

 

 

化学メーカーの製品でよくある話ですが、同じ製品でも、
使われる業界や用途によって、売れる価格が全く違います。
こちらの用途では数百円でも、こっちでは千円超えるなんてザラ。
さすがに一桁違いまではいきませんが、2倍3倍は普通です。

 

 

 

数量の要素も大きく絡みますが、結局は、
お客さんにとってどれだけの価値があるか、ということです。
そのモノ自体の価値プラス、モノについてくる他の価値。
技術サービスとか情報とか融通のききやすさとか。

 

 

 

これらのトータルが、モノの市場価値ですね。
ところ変われば、価値って変わるんです。
そこで元に戻って、わたしたちの市場価値です。
そこには何があるんでしょうか。

 

 

 

真っ先に思いつくのが「スキル」ですね。
会社に勤めるなら、その会社や業界が必要とする専門的スキル。
資格とか、その業界での実務経験とか。。
転職なら即戦力になることが求められるので、確かに重要でしょう。

 

 

 

専門的スキルの他には、例えば語学スキルとか、指導経験とか。
対人スキルとかコミュニケーション能力とも言えますね。
どんな仕事でも結局、人と人とが働くのは変わりありません。
幅広く円滑に人と協力できるスキルは、どこでも必要になります。

 

 

 

では、市場価値が高いって、どういうことなんでしょう。

 

 

 

例えば化学業界。
東大の大学院卒、有名雑誌への掲載論文数も多く、英語も堪能。
現職では若くしてプロジェクトのリーダーを務め、
生み出した新製品は億単位の利益を長年出している、とか。

 

 

 

きっと、同業研究職の引く手は数多でしょう。
研究者として転職したいなら、入り口としてはこれ以上
望むべくもありませんね。
この人も、自分の能力と経歴を存分にアピールすることでしょう。

 

 

 

ただ、例えばこの人が、絶対に研究者以外にはなりたくない、
自分はもっと高い給与を得るべきだと考えていた場合。
今の日本国内で市場価値が高いかといえば、疑問です。
外資系だったら即採用かもしれませんが。

 

 

 

変わりつつありますが、日本の企業の多くが、
異動や転勤を受け入れる条件で正社員として雇用しています。
また、高い能力を持っている人こそ、
将来の経営者候補として採用したいと思っています。

 

 

 

なので、この人の評価は「研究者としては非常に能力があるけども
わが社の求める人材とは違う」ということになる可能性があります。
転職理由に給与面でのステップアップを押し出していれば、
「条件次第でわが社の重要機密を知った上で転職するかも」とも。

 

 

 

ちょっとひねくれた見方かもしれませんが、採用する側も、
長く力いっぱい働いてくれる人を欲しているのは間違いありません。
一時的な技術力補強なら派遣会社の手を借りたり、
それこそ大学や他企業との事業提携という手もあります。

 

 

 

むしろ、わたしとしては、こんな人の方が日本での市場価値は
高いのではないかと思います。
同じ化学業界の研究職の例として、

 

顧客の要望に対し1カ月以内に何らかの提案や改良をしてきた。
密に面談をする中で次のニーズや課題を発掘し、
新テーマの提案数は同年代では一番。残念ながら実績は少ない。
御社ではもう一歩消費者に近いところで、顧客、ひいては
自分の生活を豊かにできる仕事がしたい、とか。

 

 

 

まあ、この人も大概すごい実績ですけどね。
1カ月以内に改良、新テーマ提案数が一番って、
本当にすごいことです。あくまで例ですが。

 

 

 

それよりも、顧客に密接に寄り添う姿勢と
良好な関係を築けるスキルを持っていて、前向きで、
仕事を通じて何をしていきたいかが明確です。
この人を採用して一緒に頑張っていきたい、と思えますよね。
職場にいると、周りが明るく前向きになれそうです。

 

 

 

今できる事より、どうなっていきたいか

 

市場価値、「価値」っていう言葉が入ると、
どうしても「どんな希少なことができるか」と考えてしまいがちです。
それが何より重視される仕事もありますが、
例に挙げた通り、価値というのは、ところ変われば変わるものです。

 

 

 

希少なことができれば転職する時の入り口は大きく広がりますが、
市場というものもたくさんあります。
市場価値は、一つの目線で測れるものではありません。
一緒に働きたいと思わせることも、市場価値になり得ます。

 

 

 

何がしたいか、どうなっていきたいか。
それが軸にあって、前向きに取り組むのであれば、
希少なスキルというものは余り重要ではないと思います。

 

 

 

実現したい姿に到達するために何が必要なのか。
その手段のひとつが資格やスキルであって、
逆ではないです。

 

 

 

今自分がもつもの、考えていることを客観的に評価する手段として、
転職サイトへの登録やエージェントに相談するのもひとつかと。

 

 

 

すごいスキルでもって世界の支配者とかボスを目指すのでなければ、
今の会社で、将来をしっかり考えて働いているあなたを求める会社は、
けっこうたくさんあります。
あなたが、あなた自身の市場価値を低く見ることはありませんよね。

 

 

 

転職といっても、会社に勤める以外に独立という手もあります。
結局は、どうなっていきたいか、それをどう表現するかだと。

 

 

 

考えるのも決めたことを貫くのも簡単じゃないですけど、
「わたしなんて」って言いながら老いて死ぬのは、
つまらないじゃないですか。
何はともあれ、まずは最初の第一歩、です。


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筆者:鳴海 研

化学メーカーにつとめる30代理系サラリーマン。
一人っ子として育てられたと思ったら実は違ったり、
借金で育てられたり家族が蒸発したり会社の先輩が失踪したり、
色々経験する中で辿り着いた、本当に生きたい人生とは。
あなたはどんな未来を実現したい?そんなことを書いています。

⇒鳴海研ってどんなやつ?

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